History
9JELLY
MCR特別公演
「MCR EXPO'04A」-9JELLY-

新宿シアターブラッツ

2004年9月30日(木)~10月5日(火)
8ステージ

▼CAST
櫻井智也
江見昭嘉
おがわじゅんや
北島広貴
上田房子
渡部裕樹
福井喜朗
小野紀亮
伊達香苗

▼STAFF
作・演出◇ドリル
照明◇岡野文寛(RYU CONNECTION)
久保田つばさ(M Light)
音響◇平井隆史(末広寿司)
映像◇メリケンサック
舞台美術◇GONTA(O2D)
衣装◇Fu-votion
小道具◇マイバック
制作◇八田雄一朗(MCR)
企画製作◇MCR

▼Special Thanx!!!
丸尾聡(世の中と演劇するオフィス・プロジェクトM) 毎日新聞首都圏版 GiF
さくら(タッタタ探検組合) 木戸亜希子 小田切久(かわずおとし) 榎本千草 星野理絵 岡戸三樹
中村浩司(タッタタ探検組合) Kirico-3 世の中と演劇するオフィス・プロジェクトM
(敬称略・順不同)

▼CONCEPT

1つの物語、8つの視点

変わらない物語の中に存在する8つの視点。
そのどれもが物語の印象を変化させる重要な視点なのです。
その視点からしか見えないモノ、その視点では全く見えないモノ
それらが混ざり合い1つの物語を紡いでいくのです。

今回の公演では毎回「物語の中心となる人物」を変化させます。
その回は「その人物の視点」から眺める物語を観て頂く事になります。
そこで一体何が見えるのか、何が見えないのか
不変の物語の中で漂う8分の1の心地よさを感じてみて下さい。
ちなみに登場人物は9人、変化する視点は8つ。
変わらないただ1つの視点の行く先にも注目して頂きながら
さあ、あなたはどの視点で物語に参加しますか?

▼STORY

「明日世界が破滅する」事を当然知らなかった僕(1)
その日何気なく友人(2)の誘いに乗って
友人と別れたがっている友人の彼女(3)
友人の知人(4)が経営しているクラブに行ってみる事にした。
そこはナンパされるのをひたすら待っている女(5)とか
ナンパどころじゃない安物のドラッグを大量にさばく事を義務づけられている男(6)とか
クラブに入り浸りドラッグに身を染める若者を更正させようと意気込む男(7)とかが居て
明日から真面目に働こうと思っているDJ(8)が回す空気の読めない無節操な音楽に従うしかない空間だった。
そんな退屈な時間を切り裂くように、でもゆっくりとしたスピードで
微笑みを絶やさない男(9)が入ってきて
「明日で世界は終わるんだ、好きな事をしよう」
そう言って自分の右手にナイフを突き立てた。
音楽は回り続けた。
時計も回り続けた。
明日で世界が終わる事も知らずに。

▼CAST

1.僕
大学を中退、現在はフリーター。
家で飼っている犬をこよなく愛するが
クラブに入店後餌をあげるのを忘れた事に気づく。
何とか今日中に家に帰り餌をあげたいと思っている。

2.友人
「僕」の大学時代の友人。
他人には鋭い洞察力で的確なアドバイスを与えるが
自分には気持ちいいくらい鈍感。
何とか今日中にプロポーズしようと思っている。

3.友人の彼女
友人とは別れたくてたまらない。
男性に対して気持ちはナイーブ、体はアクティブ。
そのギャップに相手も自分も悩まされる事多し。
何とか今日中に別れたいと思っている。

4.クラブの経営者
友人から結婚式をこのクラブで挙げたいと頼まれている。
経営の悪化と共に店内のモラルが低下。
しかし何も改善しない経営者の悪い見本。
何とか今日中に売り上げノルマを達成したいと思っている。

5.ナンパ待ちの女
クラブの常連、自己顕示欲を満たす為に
週末はクラブに通いナンパされるのが趣味。
最近は広がった悪評のおかげで相手にされない事が多い。
何とか今日中にナンパされて満足感に浸りたいと思っている。

6.ドラッグをさばく男
大学の先輩に押しつけられ街を徘徊。
人混みを避けるようにクラブに入店。
今の希望は風呂に入る事、もしくは誰にも知られずに街を出る事。
何とか今日中にドラッグをさばかなければと思っている。

7.更正させる男
5浪の後大学入学を断念後、若者が騒いでいるニュース映像を見る。
憤りを感じて様々なクラブで説法を唱えたが
最近は追い出されずに済むこのクラブに入り浸っている。
何とか今日中に若者を更正させたいと思っている。

8.DJ
クラブの経営者とは意見の相違から対立する事しばしば。
好きな言葉は「ライフイズミュージック」だが
明日からファーストフード店への就職が決まっている。
何とか今日中に辞表を出したいと思っている。

9.微笑む男
「世界の終わり」を唱えながらも希望に満ちた笑顔を絶やさない男。


来た、来たぞ9ゼリー。
これ、劇団員すら未だに間違った言い方しますけど
「ナインゼリー」じゃなくて「キュウゼリー」ですから、そこんとこお間違えなく。
コンセプトやストーリーを読んで貰うと分かると思うんですが、
共通の時間軸を生きる9人の人間それぞれの視点から
「8公演」行うという趣旨の元に上演されたものです。
これがまた、もんのすごく大変で、
まず、台本の総量が6時間分(33シーン)ありまして、
その33シーンの中から「日替わり主人公」の視点に合わせて11シーン抜き出します。
(個人にのみ設定された「個別シーン」あり)
「クラブの開店から閉店までの時間を過ごす人々のお話」の中から
「こいつはこういう過ごし方をしました」という部分のみを抜き出して
話として成立させるという作業。
33シーンあるわけで、それが毎日コロッコロ入れ替わるわけですよ、
つまり、昨日のシーン構成では「1のあとに2」というものであったのに
今日の視点では「1のあとに4」じゃないと成立しなかったりして、
なので演技しながら「次は何のシーンだ!?」「暗転後の立ち位置はどこだっけ!?」
などと混乱しまくりの毎日でありました。
視点は変わるけれども全体の構図は変わらないので、
その視点からはあまり見えてこない人(人物としての接点があまりない登場人物)も
自分の視点に乗っ取った動きをしなければならない、
つまり、さっきまではじっこでガックシうなだれていた人が
次のシーンではウッキウキになっていたりして、
そいつの視点から見ればその変化に当然の理由があるんですが
「視点に触れなければ」その理由は見えてこない。
あんまり仲の良くないクラスメートが昨日落ち込んでたと思ったら
今日凄いウッキウキみたいな、そんな感じですね、
何があったんだろう、でもあんまり仲も良くないしそこまで気にならないからほっとこうみたいな感じ、
よくあると思うんですけど演劇でそれをやると
「何があったんだ!よく分からない!」みたいな事になるみたいです。
そんなこんなで「意味が分からない」とか言われまくって、
初日の打ち上げで制作の八田君が「MCRでこんなに評判悪いの、はじめてだ」と呟き、
それに同調するように劇団員一同がお通夜のように酒を無言で飲み続けるという大惨事が起きたりしました。
労力がもう、半端じゃなかったので余計こたえました。
それを糧にして「ライフインボックス」や「ヒマホテル」「シナトラと猫」のように、
時間軸を共通項として持ちながらも
「一本観ただけじゃ分からない」と言われないような作品を作ってやるみたいな気持ちが沸き上がったのも事実ですが。
ある劇場の小屋主さんに
「今これやる事はなかったんじゃないの?折角劇団としてノってきたのに」
みたいな事を言われたりして、
でも、俺はこういうのがやりたかったんだ!と涙目で言ったのを覚えています。
今観ると、まあ、確かに分かりづらいところもありますが、9ゼリーは密かに僕のお気に入り作品です、
何かあると「9ゼリーやろうぜ」と発言して劇団員や制作の眉をひそめさせる僕であります。
いつかDVDにして、まとめてみんなに観て欲しいなあと思い願う作品です。
ああ、なんかモサモサする、あるシーンを抜き出してみます。
その設定の難解さ、脚本内言語の複雑さを少しでも眺めてください(笑)

9ゼリー台本9ゼリー上演台本【抜粋】(PDF/72.8KB)

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