History
世にも俺を惑わせる花
MCR第23回本公演
「世にも俺を惑わせる花」

中野劇場MOMO

2005年4月26日(火)~5月1日(日)
8ステージ

▼CAST

人物相関図

探偵事務所の所長...櫻井智也
探偵事務所の助手...黒岩三佳
探偵事務所の助手...上田楓子
ラーメン屋...おがわじゅんや
ネット友人...北島広貴
不倫相手...江見昭嘉
奥さん...伊達香苗
会社の同僚...laila.g.g
会社の同僚...山田奈々子
ボランティア団体の団長...渡辺裕樹
ボランティア団体の団員...宮本拓也(bird's-eye view)
昔の恋人...小野紀亮
父親...師走徒夢(MR.)
バーのマスター...福井喜朗
依頼人...中川智明

▼STAFF
作・演出:ドリル
舞台美術:袴田長武(ハカマ団)
舞台監督:岡嶋健一
照明:岡野文寛(RYU CONNECTION)
音響:平井隆史(末広寿司)
映像:メリケンサック
制作:星野理絵・八田雄一朗(MCR)
製作:MCR

▼Special Thanx!!!
bird's-eye view MR. クロカミショウネン18 読売新聞シティライフ編集室
さくら(タッタタ探検組合) 中村浩司(タッタタ探検組合) 岡戸三樹(ヨシロー冒険団) 青木明子(ヨシロー冒険団)
星野友紀 天然鉄王 木戸亜希子 小田切久(かわずおとし) 榎本千草 伊藤秀華 高橋雄二
YUKi-TO 明石修平(bird's-eye view)
(順不同・敬称略)

▼STORY

「私こういう者です」と彼女は笑いながら一枚の花びらを差し出した

街でよく見るタイプの君よ
そんな言葉がまさに当てはまるような女性が殺された。
会社からの帰り道、のちに誰でも良かったと供述する無職の男に後ろから刺されて。
彼女の赤いコートは鮮血を隠し、ただ踊っているかのようにも見えた。
そして彼女は星を見上げた。刺された背中ではなく小さな胸に手を当てながら。
白い息がか細くなっていくのを寂しくも思いながら彼女はポケットから手紙を取り出し、
それを口に出して読んでみた。

「さようなら」

今では誰に宛てたものか分からないその手紙を読み終えて彼女は
ゲラっと一度大きな声で笑い、そのまま瞳を閉じた。
彼女と関わる人達の気持ちを無視するように、不謹慎な笑顔を浮かべて。


探偵モノです。
イエロウカウボーイズカンパニーっちゅう探偵モノを昔書いていたんですが、
あの頃よりはもうちょっと面白く探偵モノが書けるだろうという思惑から取りかかった題材です。
いわゆる「犯人を捜す」というものではなく、
犯人はもう捕まっていて、じゃあ何をすればいいのかっていうと
「殺された女の人がどんな人で何を考えていたのか」
というのを調べ上げる、という依頼でして。
いやあ、この台本書きながら思っていたことですが、
複雑な伏線を張り巡らせたり、理路整然と何かを解き明かしていったりっていうの、
僕凄い苦手ですね、そうじゃないかとは思っていたんですが。
多分、こういう、探偵モノとか推理モノとか書く時って、
最初から事細かにプロットで練り上げて精巧なプラモデルを作るように、
なおかつ完成型を逆算しつつ提示していくみたいな、
繊細かつ精巧な組み立てを提示するの事が何より必要なのかな、と思うんですよ。
俺だめだわ、そういうの。
飽きちゃうんですよね、書いてて。
なんか、漢字ドリルっていうの?薄い線で書いてある上から鉛筆でなぞるみたいな?
そういう感じがしちゃって「創作じゃなくて作業じゃねえか」とか思っちゃうんですね、多分。
いや、絶対必要なことであって、僕がそういう事を全くしないって訳じゃないですけど、
観客に「勘違い」させながら「答え」に向かっていくっていう行為が、
なんつうか、飽きちゃうんでしょう、きっと。
なので、これを書いてる時も「終わり方」が自分で全く見えず、
観客よりも「ハララ、どうやって終わるのかしら」みたいな感じになりながら書き進めていたもんで、
途中で「どうすりゃいいのさ」みたいな感じになったりもしました。
依頼がある以上、それに答えを出さなきゃいけないっていう、
何て言うか「答えは何通りもあるんだよ」みたいな方向に行けないじゃないですか、探偵モノって。
じゃあ何で探偵モノをやろうかと思ったのか聞かないで欲しいですけど、ええ。
なのでこの作品のオチとしては「大事なことだけは分かりませんでした」っていうオチにして、
いや、こう書くと責任放棄みたいに思われるかもしれないですけど
それが問題にならないような組み立て方をしてですね、
実際、そこを突っ込んで来た人はいなかったので正解だったかな、
とは思っていますが。
エチュードを組み込んで、役者の見ている方向性を組み込んでみようと思った最初の作品かも知れません、
みんな、総じて、エチュードはすごい下手でしたけど(笑)